吉田たかお演説集

令和7年度京都市予算への賛成討論

令和7年(2025年)3月25日
京都市会本会議場

※松井市長就任後1年が経過し、市民との対話や各種団体や識者などとの意見交換を重ねた市政運営の評価が問われた予算市会では、財政健全化と車の両輪と言える成長戦略が『新・京都戦略』としてグレードアップして打ち出されました。京都の未来を見据え、各会派の委員が分科会や総括質疑で徹底した議論を交わした結果、最終本会議で令和7年度予算が可決成立しました。重要な局面であるため、会派の代表幹事である私・吉田たかおが、公明党議員団を代表して討論に立ちました。

【予算への賛成の理由】

 公明党京都市会議員団は、令和7年度一般会計予算案および公営企業特別会計予算案ほかの議案に「賛成」の立場を表明しておりますので、議員団を代表して討論を行ないます。

 賛成する理由は、大きく2点あります。1つは、財政の「見える化」を図りつつ、未来への投資と過去負債の返済を両立する3年連続の収支均衡予算であるからであり、もう1つは、公明党議員団が地域に根を張った草の根ネットワークで市民の声を受け止めて提出した「予算要望」のほぼすべての項目が具体的に推進されており、わが会派の方向性と軌を一にしているからであります。

 市長は予算の提案にあたり、京都市が目指す「すべての人に居場所と出番がある突き抜ける世界都市」について、次のように定義しておられます。第1に、誰もが幸せを感じ、生きがいを持って活躍できる「ウエルビーイングなまち」、第2に、世界中から個性や才能にあふれた多彩な人材が集い、市民ぐるみで新たな価値を創造する「ぬか床」のようなまち、そして第3には、日本中・世界中の人から、住みたい働きたい活躍したいと思われ、選ばれる「唯一無二のまち」とのことです。

 また、令和7年度予算を、「種まき」となる基盤づくりから進化した「本格展開予算」と位置づけ、市民生活を守る取組、喫緊の課題である人口減少に対する取組、そして京都の価値と強みを活かし、先導的・挑戦的に展開する取組を強化し、さらには、限られた財源の中、効果的・効率的な施策展開のため、府市協調・オール京都の取組や公民連携等の「新しい公共」を推進し、追加予算をかけずに創意工夫を強化する「ゼロ予算」を遂行すると表明されました。

 これら「ぬか床」や「種まき」そして「新しい公共」という、独特のセンスあふれるキーワードは、極めてユニークであり、市民に分かりやすいと実感します。松井市長の情熱とビジョン、確かな手腕に期待を寄せ、希望を見出す市民が多い所以(ゆえん)と確信するものであります。

 生命の尊厳と人権の尊重を基調とした、新たな価値を創造する人間主義の公明党は、確固たる戦略に基づいて編成された予算を高く評価し、賛成するとともに、どこまでも庶民の側に立って、小さな声に寄り添って、政策推進への真摯な提言を重ね続けることを表明いたします。

【重要政策への提言―第1分科会分】

 以下、各分科会や総括質疑で取り上げた具体的な重要政策について、申し述べます。

 まず、『新・京都戦略』推進のために不可欠な職員の意識改革、働き方改革について、「140項目の政策」 「仕事の仕方改革」 「持続可能な行財政運営の確立」 の3つを一体的に進めるビジョンに賛同いたします。幹部職員だけでなく、「新しい公共」の主体者である中堅や若手職員の皆さんと市長が率直な意見交換を重ねることによって、人材育成が具体的に加速するものと、心から期待します。

 長期ビジョンの策定・推進に向けては、世界文化自由都市宣言を踏まえ、平和と文化を中枢に位置付けるとともに、向こう25年間のまちのビジョンを決める重要な局面であることを、市民とも共有して取り組んで頂きたい。

 また、地域防災力の中核を担う「消防団の担い手確保」については、とりわけ高齢化や若年層の減少という課題を踏まえ、女性や若年層の参加を促進する取組が不可欠です。また、京都府とも連携しながら幅広い世代への入団促進に取り組んで頂くよう求めます。

 環境政策については、我が会派が求めてきた、循環型社会の構築を一層前進させるサーキュラーエコノミーへの移行に向けた新規事業をスタートされることを高く評価します。

 地域経済を活性化させながら環境負荷の低減を進めることとあわせて、脱炭素社会の実現に向け、将来世代が環境問題を「自分事」として捉え、主体性や批判的思考力を養う探求学習を企業等と連携し、生徒が社会への貢献を実感できる仕組みや食品ロス削減のさらなる推進に向け、フードテックサービスの強化を求めておきます。

 次に、保健福祉政策については、高齢化や障がい者支援のニーズが高まる中、人口減少を迎えても市民の命と暮らしを守る役割を持続的に果たす予算としたことを評価します。

 その上で、重層的支援体制・共生社会の充実に向けた「創造的福祉社会」の実現をめざし、高齢者や障がい者が活躍できる就労支援の拡充に向けて、京都府との連携を強化し、誰もが安心と生きがいを感じられる環境づくりを進めること、とりわけ、在宅人工呼吸器使用者等への非常用電源装置購入支援が、必要な人に確実に支援が届く仕組みとなるよう推進して頂きたい。

 また、社会的孤立や生活困窮などの様々な背景が指摘される「多頭飼育崩壊問題」をはじめ、動物愛護政策を進め、生命尊厳を共有する社会の構築を加速することを要望いたします。

【重要政策への提言-第2分科会分】

 子どもや若者への支援については、『新・京都戦略』の政策集で、京都ならではの学びと子育て環境を通して「未来を担う子ども・若者を社会全体で共にはぐくむまち」を掲げておられます。子育て世帯の定住・移住につながる取組を確実に進めるとともに、市民生活を支える交通手段の維持・確保として民間バス路線の維持支援を市バスとの新たな連携の取組として検討して頂くよう求めます。

 また、「ミータス山科醍醐プロジェクト」については、多様な人々が住み、学び、つながることのできる文化・教育のまち“山科・醍醐”との方向性を打ち出しておられます。東野公園に係る取組については、インクルーシブな遊具設置をはじめとする多世代の様々なニーズに対応できる空間を整備するよう、かねてより我が会派が求めていたことであり、高く評価するものであります。

 元ラクト健康文化館や東部クリーンセンター跡地においても、つながるリブラボプロジェクトとして新しい図書館構想に向けた検討が開始されたことに期待しています。地域の声を最大限に尊重し、実現への現場第一主義の創意工夫をお願いします。

 そして、「安心・安全で災害に強いレジリエントなまち」として、建築物や道路のバリアフリー化を通して障がい者や高齢者など、全ての人にやさしい都市環境の整備促進に取り組むことで防災減災対策に努めて頂きたい。

 地域自治推進については、先日、我が会派が提出した政策提言『人と人を結ぶ新しい協働プラットホームのあり方』で詳しく言及しましたが、人と人とをつなぐ結節点としての区役所・支所の機能強化取り組むとともに、1人1人が尊重され、誰1人取り残されない共生社会の推進を望みます。特に若年被害女性等支援事業や、児童相談所の過酷な労働環境の改善に向け、より一層の充実を求めます。

 また、妊娠前から子ども・若者まで切れ目のない支援をするため、『京都市はぐくみプラン』を着実に推進して頂きたい。男性の産後うつなどへの支援も含めて、真に切れ目のない支援となることを望みます。

 教育については、国からの支援が決定した学校体育館の空調整備を早急に計画・実行する中で、断熱化も含めた総合的な施設管理の充実のため、令和15年度以降も国の支援を確実に受け取れるよう取り組んで頂きたい。

 高校授業料無償化が進む中、教育の質と多様性を重んじる公教育の充実が重要です。また生徒にとっての最大の教育環境は教師自身であるとの観点からも、教員の処遇改善にしっかりと取り組むべきと申し上げます。

 さらに、英語教育における「ALTの拡充」を大いに評価します。今後は「STEAM教育」の推進をはじめ、どこでも等しく教育機会に触れられるよう環境整備に取り組むことを望みます。

【重要政策への提言-第3分科会分】

 産業政策については、長引く物価高騰の中にあって、地域企業、伝統産業、農林業を下支えする継続的な支援が重要であることは言うまでもありません。

 それと共に、スタートアップの創出・成長、企業立地促進、半導体産業推進など、未来の京都に向けた意欲的で多彩な事業が並ぶ中、産官学の連携をはじめとした京都の強みを活かしながら、産業基盤の強化、また、京都企業の更なる発展につながるよう、斬新かつ柔軟な施策展開をお願いします。

 観光と市民生活の調和については、生じる課題に対して、市民の声に寄り添いながら対策を進めるとともに、観光効果の更なる「見える化」を進め、より多くの市民が観光による市民生活の向上などの効果を実感できる取組を充実して頂きたいと申し上げます。

 次に、公営企業についてです。まず、市バス・地下鉄事業については、厳しい経営状況の中にあっても、地下鉄烏丸線可動式ホーム柵の全駅設置に向けた基本設計、地下鉄駅トイレのアップグレード、更なるキャッシュレス化を含むDXの推進など、積極的な取組がなされることを大きく評価するものであります。

 引き続き、なりふり構わない経営改善に取り組みながらも、お子さんから高齢者、女性、障がい者、観光客など、多種多様な内外のお客様が、安心・安全で、より便利に快適に利用できる地下鉄・市バスを目指して着実な施策遂行をお願いします。
 
 中でも、市民優先価格の1日も早い実現を目指すとともに、市バスの混雑緩和に向けた取組の更なる充実強化を求めます。と共に、喫緊の課題である市バス運転手をはじめとした担い手確保については、市民の足を守るために、職員の処遇および職場環境の更なる改善を図る中で、全力で取り組んで頂きたいと申し述べます。

 上下水道事業につきましては、水需要の減少などにより厳しい経営状況が続く中、施設マネジメント検討結果の中間報告でも、今後の上下水道管路更新費用の増大が報告されており、更に厳しさを増しております。京都市上下水道事業審議会が設置されることもあり、持続可能な上下水道事業に向けて更なる経営改善の取組が必要な状況であると指摘いたします。

 大規模地震などの激甚災害への不安が高まっています。市民の命を守る管路や施設の改築や更新は極めて重要です。上下水道耐震化計画や施設マネジメントに基づき、耐震化を着実に進めて頂きたい。各地で老朽管による被害が発生する中、AIなどを含めた最新技術の活用を進めるなど、漏水対策の充実強化に取り組んで頂くことを求めます。

 新たに設置されるお客様サービスセンターについては、災害対応の強化に期待するとともに、お客様からいただく声をもとに、更なるお客様サービスの迅速かつ適切な向上につなげていくようお願いします。

 以上、主な具体政策について論じました。激動の時代を切り開くには、熱い情熱と清新な英知を結集し、勇気ある決断を重ねることが重要です。京都市の未来にとって今が最も重要な局面であるとの自覚に立って、我が議員団は団結して前進することをお誓いし、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

(令和7年度予算は賛成多数で可決成立しました。政党会派が党利党略で対立したり駆け引きに固執すると、市民生活に身近な地方自治体では混乱を招いてしまいます。各会派がお互いをリスペクトし、切磋琢磨して建設的な議論を重ねることが、健全な政治を実現するとの確信で論じました)

 

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