吉田たかお演説集

2017年2月議会 一般会計予算賛成討論

平成29年(2017年)3月24日 京都市会本会議場

※平成28年度、私は予算委員会と決算委員会の副委員長を務め、分科会の局別質疑で主査として議事の進行を担当。その総仕上げとして、2月市会で審議された平成29年度の京都市一般会計予算に対して、公明党京都市会議員団を代表して賛成討論を行いました。

【京都市予算4つの柱】

 公明党京都市会議員団は、議第1号から13号、平成29年度京都市一般会計予算ほか12件について賛成の立場を表明しておりますので、私は議員団を代表し討論を行います。

 税収の減少と財源不足が拡大する極めて厳しい財政状況の中で編成された今予算案は、行財政改革を徹底する一方、縮小一辺倒に陥ることなく、京都の未来を切り開くために効率的で効果的な事業を構築されたものと評価します。

 特に、予算編成にあたって重視した4つの大きな柱のうち、第1に「日本の心の創生を牽引する文化首都京都の実現」を掲げたことは、文化庁本格移転を機に地域活性化の施策を促進するための政策提言を市長に提出した私ども公明党議員団の課題意識と軌を一にするものであり、京都の誇りであり財産でもある文化力を基盤とした施策の着実な実行に期待しています。

 第2第3の柱である「経済活性化と雇用創出」と「子育て環境充実」についても、景気回復の光が庶民の暮らしに届くかどうか、まさに正念場にある本市にとって最優先の重要課題であり、施策展開において縦割りを克服する融合の視点を全面に出している方針に賛同するものです。

 第4の柱である「参加と協働のまちづくり」との視点は、目に見える即効性がないだけに、粘り強く地道にすすめる覚悟が求められます。だからこそ、市民の声に真摯に耳を傾ける姿勢を今以上に拡充していただきたい。同時に、多くの市民が希望を持てるよう、「伝えるチカラ」を重視して多角的に発信していくべきであると申し上げます。

【第1分科会を受けて】

 以下、第1分科会及び第2分科会で質疑した中で、重要な点を具体的に言及させていただきたいと存じます。

 まず、中期財政収支見通しの投資的経費については、「特別の財源対策によらない財政運営」及び「生産年齢人口1人当たりの市債残高を増加させない」と定めた京プランの枠組みからブレずに、着実に推進しなければならないことは言うまでもありません。

 一方で、美術館や中央市場の再整備や芸大の移転など大型事業への資金需要が増大するなか、防災・減災のための公共施設インフラ整備をはじめ、地域の安心安全にとって不可欠な投資が先送りにされないためにも、投資の有効性や適格性を判断し、適切にコントロールする体制を強化する必要があると指摘いたします。

 マイナンバー制度は、人口減少時代の超高齢化社会を迎える自治体にとって、市民の利便性を向上するとともに、行政の無駄を削減し、公正・公平な社会を実現するために不可欠であることは間違いありません。

 国民を一方的に管理するツールだとか、個人情報漏洩の可能性があると声高に批判して不安を煽り立てる向きがありますが、そのような反対のための反対に左右されることなく、最新のICT技術をフル活用することによるリスクの軽減とメリットの拡大を丁寧に説明して、市民に安心と希望を提供していただきたいと申し上げます。

 市長は今議会の代表質疑で、平成30年度後半を目途としてコンビニにおける証明書交付を開始すると表明されました。その前提となるマイナンバーカードの申請交付を一層拡大するためにも、「マイナポータルにおける子育てワンストップサービス」や「マイキープラットホーム」の整備をはじめ、様々な具体的施策を、局の垣根を越えて適切に進めていくよう求めます。

【第2分科会を受けて】

 次に、第2分科会で審査された政策についてですが、健康長寿を促進するうえで大きな反響を呼んだ「いきいきポイント事業」の予算が倍増する点は大いに評価されるものです。我が会派が求めてきた公園遊具の充実についても、着実に推進していただきたいと存じます。

 子ども若者はぐくみ局の新設に伴い、各区において切れ目のない子育て支援が促進されることが期待されます。市民にわかりやすく相談しやすい窓口となるよう万全を期していただきたい。あわせて、若者の相談窓口についても、今まで以上の適切な課題解決が求められます。縦割りに陥らない、効果的なワンストップの仕組みの構築が重要と指摘させていただきます。

 貧困家庭の子ども・青少年対策については、本格的な実施計画の取組がスタートしますが、ノーベル経済学賞の受賞者でもあるシカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授が指摘するように、「恵まれない境遇にいる子どもたちへの教育投資は、公平性と効率性を同時に促進する稀な公共政策である」と確信するものです。居場所づくりや学習支援など、1人1人に寄り添った貧困対策を全力で推進してください。

 民泊については、観光需要の拡大への対応に追われて市民生活との調和が後回しにならないよう、京都の実情を踏まえた条例の制定と、安心安全を重視した柔軟かつ実効性ある運用を求めます。

 京町家の保全・再生・活用については、9月市会で提出される条例制定に向けての動きが進んでいますが、京都らしい実効性のある条例となるよう取組んでいただきたいと申し上げます。

 高齢者など住宅確保に課題を抱える人が増えています。現在、国会で審議されている新たな住宅セーフティーネット制度の動向も踏まえ、高齢者などの居住支援をより一層充実するよう求めます。

 以上、何点か申し述べました。私ども公明党議員団は、口先だけのパフォーマンスではなく、地域に根を張った草の根のネットワークで培った庶民の目線で、市政をきめ細かくチェックするとともに、建設的な提言を積み重ねて、京都市活性化に貢献していく決意です。ご清聴ありがとうございました。

(過去に例をみない人口減少の超高齢化時代に突入し、地方自治体の役割が大きくなっています。追求や糾弾ではなく、きめ細かな政策提言を心掛け、京都活性化に貢献する決意を固める機会となりました)