議会質問集

平成20年普通決算特別委員会総括質疑

平成20年(2018)12月5日 京都市会第2会議室

※平成20年度は1期目の2年目。くらし環境委員会の副委員長として議論を重ねました。決算委員会の総括質疑で、「文化芸術」「Do You KYOTO」「地球温暖化」「循環型社会」について問題提起。市民の声を生かした柔軟な発想・縦割りを克服した施策の融合・現場を歩く中で想像力を創造力に生かす、という吉田たかおのコンセプトの萌芽が見えますので紹介します。

【はじめに】

◆吉田孝雄委員
 いま、経済が大変な状況になっております。効果的で迅速な経済対策が求められているとことであり、本市においてもスピード感ある対応を、ぜひお願いしたいと思います。

 同時に、長期的ビジョンで未来の京都を志向すべきであります。産業革命以来とも言われる大変革期にあって、地球温暖化・気候変動への取り組みの先進的かつ象徴的存在が、京都だと思います。「Do You KYOTOプロジェクト」をリードしている門川市長への市民の皆さんからの期待が集まっています。

 また、人の心がすさみ、命の尊さが蔑ろにされている中、文化芸術振興は大きな意義を持つものであると確信しています。その中で、京都が文化芸術の首都として、日本の素晴らしさを世界に発信し、平和な世界を構築しゆく、使命と責任があると申し上げたい。

【京都文化芸術都市創生計画】

 そこでまず、1点目に「京都文化芸術創生計画」についてお聞きします。この計画は平成19年に策定され、マスコミからも注目されておりますし、市民の皆さんの評価も高く、期待の大きいものです。その着手の状況や進行度を審議する審議会が、本年2月1日に開催され、私も傍聴させていただきました。

 各分野の第一線で活躍している17名の委員の方々の多彩な意見を生で聞くことができた貴重な経験を踏まえ、今後の取り組みについて質問したいと思います。審議会では委員の方々から活発な意見が交わされ、いくつかの重要な提案もありました。私はその中で3点が印象に残りました。

 1つめが、「ようこそアーティスト文化芸術とくべつ授業」のデジタル化という意見です。委員のお1人が、「授業の模様を撮影した映像ソフトを各学校に配布してはどうか」と提案されたのです。私も、「クラス単位」という方式の重要性は十分に理解しているのですが、需要と供給のバランスがとれにくいので不平が出ないのか、という問題意識があったので大いに賛同した次第です。

 映像ソフト活用もそうですが、「クラス単位」だけという方式から一歩すすんで、柔軟に企画を組んで、たとえば「学年単位」などの規模も平行して実施してはいかがでしょうか。教室ではなく体育館で芸術を鑑賞した後、苦心談などのトークであるとか、質疑応答などをしたら、子どもたちの心に残って行くのではないかと思います。

 2つめが、「百人一首」のいっそうの活用が提案されたことです。私自身も子ども時代から百人一首に親しむ中で、競技の醍醐味を通して古文に慣れていったことで、その後に源氏物語も読むことができました。

 暗記形式だけでは抵抗感しか残らず、魅力を実感できません。「古典の日」推進の機運でもありますので、いろいろと知恵を出し合ってソフト面を充実し、クリエイティブな事業を推進していただきたいと思います。

 3つめですが、委員の方から「文化ボランティア」に言及されました。500人以上の方々がより活躍する舞台を拡充すべきとのこと。私も、これらの方々が幽霊部員になってしまわないよう、様々な建設的意見を積極的に取り入れていくような、血の通った組織になっていく必要があると思います。

 審議会の西島会長が「現在、最先端の科学技術では、ナノテクノロジー等の分野に研究が進んでいるが、命の尊厳という問題が生じてきた。最先端の科学技術だけでは世界が暗黒の時代に入ってしまう。これからの世界には文化が大事である」と発言され、私は感動しました。

 そして、最後に理事者からは「京都が今後生きていくうえで非常に大事な部分が景観と文化である。財政状況は厳しいが、今後は何とか文化予算を確保してまいりたい」と決意表明されました。

 これらを踏まえ、私は「柔軟な企画」「効果的な予算」「ソフト充実のため、市民の声を積極的に求めていく」、この3点が大事であると思いますが、いかがでしょうか。

◎細見副市長
 京都の文化芸術都市を高めていくということは、非常に大事なことだと認識しており、創生計画の77施策の中で,現在61施策を着手しております。今ご提案の「学年単位の開催」と「デジタル化」については、よく検討してご提案を尊重して考えてまいります。文化ボランティアについても、市民の声を前向きに吸い上げていくようにしたいと考えています。

【地球温暖化対策】

◆吉田委員
 次に、地球温暖化対策についてお聞きいたします。今は35度を越える暑さが当たり前になっており、とりわけ「ヒートアイランド」については、盆地でもあり都心部でもある京都は先進的に取り組むべきであると考えます。

 先日に参加させていただいたジュニア環境サミットでも、中学校で緑化事業に取り組んでおられる模様が報告されていました。また、12月1日付市民しんぶん6面に「おむすびミーティング」が掲載されていましたが、10月度に市長と意見交換されたのは、「中京・花とみどりの会」という中京区役所の屋上緑化に取り組んでおられる市民ボランティアの皆さんです。

 ちょうど私自身も、自分の住んでいるマンションにも「屋上緑化」の話も出ており、関心がありましたので、HPで見て連絡を取って中心者の方に会いに行き、詳しく取材をさせていただきました。

 そこで、「気温は4度も下がる」とか、あるいは「大変なのは維持管理です」という貴重なお話をおっしゃっておられました。また、様々な苦心談をお聞きするなかで、本当に苦労してノウハウを積み重ねておられるのだと、改めて実感しました。

 私は、市民の方々のこうした努力を、行政がしっかりとバックアップすべきだと思います。特に、関心があって手を挙げようと思っても、よくわからないまま何もできないでいるような方々も多いのではないかと思うのです。

 そのためにも、今、克服するべき課題になっているのが、ズバリ「縦割り行政の限界」ではないでしょうか。例えば、区役所の屋上緑化の課題や方向性については、文化市民局に聞くことになりますし、学校の屋上や壁面緑化をどう進めていくのかについては、教育委員会。マンションや企業での取り組みへの助成制度の今後については建設局が担当しています。そして、それぞれが頭をひねり悪戦苦闘している状態です。

 そこで、これらの事業の現状について、課題を分析して問題の解決をはかり、いっそうの拡充をはかるためには、情報交換や人的交流が不可欠ではないかと申し上げたいのです。今のように各局が別々にやっていては非効率ではないか。この問題意識で、各局を橋渡ししてコーディネートするために、総合企画局がプロデュースするべきであると提案したいと思いますが、いかがでしょうか。

◎山崎副市長答弁
 各局が個々に担当するやり方がわかりにくいとのご指摘はもっともであると考えます。「融合」の観点で窓口を一本化する必要を感じていますので、人的交流や情報の共有と提供を総合企画局が担っていくように、工夫していきたいと考えています。

【循環型社会構築】

◆吉田委員
 今ご答弁にありました「融合」という点は非常に大事なことでありますし、市民の皆さんも期待しておられると思います。期待したいと思います。

 3つ目は、循環型社会の構築のための、それこそ「共汗と融合」という路線についてであります。環境局では早くから、「ごみ減量」の意識を深化させていくために、さまざまな取り組みがされてきました。

 ものごとは手順を踏んで段階的に進めていくべきです。本市は、ゴミ袋の件についても、そこを重視して進めてこられました。まずテスト事業をして、次に有料化を実施し、その翌年の19年度から「分別」を開始されたのです。

 もし急進的にやってしまっていたら、混乱していたかもしれません。その意味で、急進的にせずに、着実に市民周知はかりつつ進めたことは、大いに評価されるものです。

 リサイクルについても、平成5年から「使用済み乾電池回収」を推進され、環境破壊を防ぎ、循環型社会推進の機運づくりに貢献していきました。そして平成18年度からはじめた蛍光管リサイクルも、19年度は回収率が2倍に拡大するなど、積極的に取り組んでいます。

 今後は、いっそうの分別協力率・回収率向上へ取り組み強化とともに、「レアメタル」といわれる希少金属が含まれる携帯電話のリサイクル事業に、具体的に取り組むようお願いしたいと思います。

 同時に、東京や関東地方の自治体で注目されている「入れ歯回収ボックス」も、非常にユニークな事業でして、ユニセフと連動して難民支援にも資する取り組みでもあります。他都市をしっかり研究し、前向きにお願いしたいと思います。

 もう1つの方向性として大事なのは、「地域ぐるみの意識深化」という視点であります。平成6年から、「地域ごみ減量推進制度」を推進され、のべ760名の市民の皆さんが着実に活動を進められました。少しずつ浸透行く中で、平成19年度からは、各区環境パートナーシップ事業とごみ減量相談窓口事業を開始されました。

 そして、今年度に提起されている『京都市ごみ収集改善実施計画』で示されている方向性の中にも、「地域との連携に基づく総合的な環境行政の展開」とあり、そこには、平成22年度に「地域におけるごみ減量目標設定」と明記してあります。まさに、地域での市民参加促進を大いに進めるべきと申し上げたいと思うのです。

 第1回ハートミーティングで、市長は環境局の若手職員と意見交換されました。これをHPで読んで、私は感動しました。若手職員は、この中で「職員の意識改革が大事である」とか、「普段の作業もさらに効率化を図り、勤務時間を有効に使い、まちをきれいにしたい」そしてまた、「市民サービスは、行政の思い込みで行うのではなく、市民の方が本当に求めていることは何かを抑えることが必要である」という意見を述べておられます。

 本当に素晴らしいことを主張しておられ、感動しました。ここで言われているように、単に収集だけではなく、職員自らが地域の中に入っていく意識改革があってはじめて、「市民との共感」が大きく促進し、地域の熱意と融合できるのではないでしょうか。

 この、循環型社会に向けたごみ減量への市民参加推進への方針と、今後の計画をお聞かせいただきたいと思います。

◎門川市長答弁
 就任以後、「現地現場主義」ということで、ほぼ全てのまち美化事務所あるいは清掃工場を回ってきました。第一線の職員が本当に志高く一生懸命働いているなか、現場が大きく変わってきたなということを実感し、心強く思っております。単にごみを収集するだけでなく、それを分析しながらチラシを作り啓発していく取り組みも着実に進んでおります。

 環境局が「環境先進都市・京都」の先頭に立って、オール市役所で連携しながら、モデル都市としての先進的な役割が果たせるよう、より充実した取組を進めて参りたいと思っています。

(審議会を傍聴したり、市民参加型イベントを見学したり、HPや広報紙で知った方への取材など、貪欲に自己研鑽を重ねて議会質疑に臨んでいたことを、あらためて痛感しました。今また初心に立ち戻ってが頑張っていこうと決意しています)