議会質問集

はじめての委員会質疑

平成19年(2007年)6月5日 京都市会第2会議室

※議員1年目の2007年は文教委員会に所属し、文化芸術や教育などを議論しました。6月5日には初めて一般質問で登壇。ドキドキでしたが、綿密に準備を重ねて、子どもや若者の視点の重要性と市民参加の促進を重視して質問しました。

【路上喫煙禁止条例】

◆吉田孝雄委員
私の方からは「路上喫煙禁止条例」と、「京都文化芸術都市創生計画」についてお聞きしたいと思います。

 まず、今回施行されることが正式に決まった「路上喫煙禁止条例」ですが、先日の京都新聞に「文化市民局と交通局と対立している」と報道されており、約350箇所の灰皿の撤去の件で揉めておられるということです。今回非常に注目を浴びたこの条例が水を差されるような報道になっておりまして、市民の皆様の関心があるだけに、そのぶん批判も大きくなってしまうのではないかという懸念もございます。

 そういう意味で、現状がどうなっているのかお聞きしたい。新聞記事の最後に、「文化市民局は困り果てている」と書かれているんですね。このままでは市民から懸念が湧き上がってしまうのではないかと心配されます。迅速な対応と具体的な情報公開が必要ではないか思いますが、いかがでしょうか。

◎鹿島市民生活部長
市バスの停留所の灰皿の部分でございます。これは路上喫煙の施行に大きくかかわることでございますので、交通局さんと設置状況等を確認するなど、事前の協議を致しております。また、5月市会で決議をいただきました後の5月31日に、たばこに関する庁内会議を持ちまして、交通局さんも入った中で、現在の状況を説明させていただいているところでございます。

 今後は、条例にも「事業者としての責務」が規定されておりますので、事業者であります交通局さんとも連携をしながら、禁止区域の部分につきましては灰皿を撤去していただこうと考えており、その他の部分につきましては、やはりいろんな事情があるという風に聞いておりますので、段階的に撤去する方向で協議を更に進めて参りたいと考えているところでございます。

◆吉田委員
 反対されている地域住民の方の実態は、実際にはどうなのでしょうか。火事になりかねないという反発という形で起こっている心配は分かるんですけれども、どういう風な具体的な反対をされているのか。あるいは、たくさんなのか一部だけなのか。それとも本当に説得力のあるような反対なのか。その辺はいかがでしょうか。

◎鹿島部長
 停留所の灰皿の部分につきましては、交通局さんでやっていただいており、これからも基本的には交通局さんを通じてということになろうと思います。詳細につきましては我々もそこまでは把握しておりませんけれども、今後協議を進めていく中で、十分交通局さんとも連携しながら理解を深めて、啓発をしっかりしていく、そういう風に考えているところでございます。

◆吉田委員
 具体的に、どのような数の反対があるのかとか、内容とか分からないということですか。

◎鹿島部長
 現時点でそこまで詳細に私どもは把握を申し訳ないけれどもしておりません。300何十ぐらいの灰皿があるということでございますので、交通局さんの努力をお願いする部分もあるわけですが、そうした中で十分に周知啓発の部分で協力して参りたいと思っております。

◆吉田委員
 この報道は一部分だけなので、私どもも詳しくお聞きしないといけないとは思うんですけれども、灰皿に関しては近隣住民からの要請で設置したために、撤去に向けての理解は得られないという状況なので、反対されている方や心配されている方の気持ちを尊重する必要があると思うんですね。それに関してどう具体的に説得されるのか。反対されている方の心配を取り除き、そのうえで安心してこの条例に賛成にしていただけるような説得をして、ご理解いただけるためには、どういう風に考えていらっしゃいますか。

◎鹿島部長
 特にバス停の灰皿は、一義的には交通局さんで対応ということをお願いしようとは思っておりますけれども、今後は審議会を設置して、その意見を聴く中で、8月ごろには禁止区域を指定して参りたいと思っております。そういう状況になりましたら、市民周知をしっかりしていくということでございますので、我々は条例の趣旨をしっかりと一般の市民の方あるいは観光客の方等も含めまして周知していく。その中でご理解を求めていきたいと考えております。

◆吉田委員
 今回の条例の様々な審議の段階において、ほかの先行都市でのいろんな事例に関して様々にご紹介いただいて参考になりましたし、それ以外にも先行する事例等はあると思うんですね。特に、バス停における灰皿に関しては、先行都市ではどのような感じでしょうか。

◎鹿島部長
 他都市の状況につきましては、現時点では把握しておりません。今後、交通局さんとも十分に協議をしながら、密接な連携を取りながら進めて参りたいと考えております。

◆吉田委員
 是非それはお願いしたいと思います。と言いますのは、ほとんどの方は賛成されているんですけども、一部の方は釈然とされない方もおられます。今議会においても付帯決議でご意見があったと思います。そういう意味では、喫煙の方あるいは地域住民の方、様々な関心を持っておられる方が、しっかりと納得されて、なおかつ賛成されて、本来の趣旨が徹底されていけるような、そういう京都市になっていけることが大事だと思います。そういう意味では、先ほど申し上げた情報公開を含め、しっかりと誠実な対応をお願いしたいと思います。その点はいかがでしょう。

◎鹿島部長
 当然、今後は市民周知をしっかりとしていく中で、我々は誠意を尽くしまして、趣旨につきましては御理解いただくように努めて参りたいと考えております。

【文化芸術都市創生計画】

◆吉田委員
 続きまして、「京都文化芸術都市創生計画」についてお聞きしたいと思います。この計画は3月に発表され、色々読ませていただいていますけれども、非常にボリュームもありますし、様々に具体的な部分も論じておられて計画されているので、好感が持てます。この計画を知ろうとされる方は京都というまちが本当にすばらしいなと思うと思います。

 そのうえで、特に市民参加という観点では、文化ボランティアと京都文化パートナー制度が、市民レベルで京都の文化芸術への関心が深まりかつ広がって、計画の趣旨がもっともっと促進されていけると期待されると思うんです。けれども、この文化ボランティアという制度と、文化パートナー登録に関しても、ほとんどの方が知らない状況なんです。この辺の現状把握と今後の計画についていかがでしょうか。

◎平竹文化芸術都市推進室長
 京都文化芸術都市創生計画についてのご質問でございますけれども、おっしゃっていただきましたとおり、今回の計画につきましては、京都が今まで培ってきた文化を更に高めるとともに、大きく発信していくことを主眼として立てております。その中でやはり大切なことは、子供たちなどの人材育成、あるいは芸術家や芸術の担い手を育てていくということと並んで、それを支える市民を育成して、生活の中にそれを生かしていただくというようなことを着眼点として計画を立てております。

 ただ今、委員のご指摘のございました文化ボランティアにつきましては、その中でも「市民参加による文化芸術都市づくり」の1本めの柱ということで、京都文化パートナー1万人構想に向けた取組を掲げております。

 現在の文化ボランティアは、昨年度では書道体験でございますとか、あるいは清水寺におけるコンサート、あるいは文化会館を使いましたフランチャイズ事業等に市民のボランティアの方にご参画いただくというようなことでお手伝いいただいておりまして、昨年では延べ活動日数が119日、活動に参画いただいた方が826人ということになっておりまして、前年に比べますと約倍ぐらいに増えているということでございます。

 京都には、ほかに様々な伝統芸能等がございますし、幅広い関心を持っていただくような文化事業がたくさんございますので、これからたくさんの市民の方が参画いただくことを目指して、最終的には、この計画に掲げています「パートナーとして1万人」を目指していきたいと考えております。

◆吉田委員
 この計画においては、1万人の登録の促進に関しましては、10年後に1万人達成を目指していこうという目標を掲げておられますが、そのうえで現在、今年度どういう風な取組をされようとされているのか。例えば5年後にはどういう風に進めようとされているのかとか、そういう逆算されて計画をどのような推進をされているのか。特に1万人と言うと非常に広がりが大切で、今800数十名ということでしたけれども、かなり差があります。その辺に関してはどのような逆算された具体的計画をお持ちでしょうか。

◎平竹室長
 委員ご指摘のとおり、本計画期間の10年後に、1万人を目指すということになっておりまして、本年は初年度という風なことになっております。それぞれの項目につく年次計画につきましては、現在内部で検討を進めておりますので,現在のところ具体的な数字の目標というのは立てられていないという状況でございます。

◆吉田委員
 これもしっかりと情報公開をしていただき、市民周知が非常に必要であると思います。知らない方も非常に多いので、例えば学校の授業においてであるとか、あるいはPTAなどで様々な取組をされていらっしゃる方、つまり現時点において京都をもっと良くして、子どもたちが住みよいようにしていこうという問題意識をお持ちの方々が、様々な議題の中で語り合っていけるような啓発を、教育委員会等と連動していただきたいと思います。

 次に、「ジュニア京都検定」に関してお聞きしたいんですけれども、これは本当に何種類の本も出たりとかしていますが、ブームが終わって数年後には誰も知らないようなことがあっては非常にもったいないと思います。

例えば、京都にたくさん来られる観光客の方を迎え入れる「子ども文化親善大使」みたいな形を作って、京都検定へのモチベーションを高めていくとかなど、ジュニア京都検定推進の具体的な計画を立てていただく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

◎平竹室長
 ジュニア京都検定につきましては、この計画の中に項目として掲げておりますけれども、教育委員会が所管しているところでございます。ただ、京都検定も回を重ねて、ますます日本の中での評価も高まっているといこともございますし、京都の歴史や文化に小さいころから関心を持っていくことは非常に大切だと思いますので、今委員がご指摘いただきましたように、小さいときから関心を持っていただいて、それを持続して次のステップに進めていけるような工夫につきましては、ご指摘を教育委員会に伝え、我々も協力して進めていきたいと思っております。

◆吉田委員
 それでは最後に、「文化芸術インターンシップ」についてお聞きします。文化芸術の道を志して京都に来られた学生の皆さんが、京都というまち自体が文化遺産と言いますか文化財の宝庫でありますので、「京都に来てよかった、京都で学べてよかった」と思っていただけていると思います。

インターンシップというのは、京都のまちをフィールドワークで調べていくうえで非常に効果があると思うんですね。フィールドワークは非常に大事な観点で、上京区でもある大学のゼミが商店街の方や町内会の方と連携しながら研究されたりとか協力関係を結ばれたりとかされて、効果を発揮しています。各大学の反応や今後の計画に関していかがでしょうか。

◎平竹室長
 文化芸術インターンシップ制度の創設についてでございますが、今回初めて京都市の計画の中に採り入れた項目でございまして、いろんな分野でインターンシップの実体験をするということが大切だと言われております。

文化芸術に関しましても、京都には府下も含めて芸術系が7大学もございますので、そういった大学の学生たちがいろんな美術あるいは芸術の分野で実体験を体験することができるようにということで、大学コンソーシアム京都と協議も進めております。今ご指摘いただきましたように、本当に京都に芸術を学びに来てよかったと思って卒業していただけるような仕組みを作っていきたいと考えております。

◆吉田委員
 今回取り上げさせていただいた子どもの視点と学生の視点、それから市民参加、これらをトータルで進めていただくことが、この計画がより一層効果を発揮するポイントになると思います。

京都のすばらしさや活性化を、どう具体的に市が進めようとされているのかにつきまして、市民の皆様も注目しておられると思います。今後もしっかりと具体的な進ちょく状況を進めていただきながら、あるいは見直し等々も含めながら、しっかり情報公開して、市民の皆様の声を採り入れて進めていただきたい。10年後には文化芸術がもっともっと進んで、この計画がその大きなきっかけになったというようになっていけるように望んで終わりたいと思います。ありがとうございました。

(本会議の代表質問のような形式とは違い、委員会の質疑は1問1答、立ったり座ったりのガチンコ勝負。ちょっと長くなりましたが、雰囲気の一端は伝わったのでは?)