京都市会を分かりやすく皆様にお伝えします。

2017年5月市会レポート

2017年5月30日

5月30日、京都市会本会議場で最終本会議が開かれ、市長から提出された37議案が採決されました。5月16日に開会した5月市会は、19日の本会議代表質問の後に、22日に予算委員会第2小委員会が開かれ、東京パラリンピックに向けた車いすフェンシング強化拠点に対する補助として、国の財源を使って備品等の購入する補正予算を審査しました。

私は会派を代表して質疑。4月23日に京都市障害者スポーツセンターを視察した際の意見交換などを踏まえ、五輪が終わった後に縮小するのではなく長期ビジョンに立った障がい者スポーツ振興を図るよう提言しました。職員の待遇改善や多角的な計画策定の必要性を訴えるとともに、段階的なハード面の整備も言及したのです。

障がい者スポーツ振興は極めて重要な政策ですので、教育福祉委員会の一般質問でも取り上げ、「トップアスリート支援」の充実も訴えました。具体的には、パラリンピックを目指すアスリートを市職員や市教委などで一定数採用し、仕事以外に練習時間と場所、トレーナー等を確保して大会などで活躍する環境を整備するシステムを検討するべきではないか、というものです。

現在活躍中のトップ選手(パラ出場など)を積極的に招へいし、「京都で活動すれば世界に飛躍できる」という流れを作ることで、市内の身障者への希望となるとともに、全国の障がい者スポーツを牽引する先進的な役割を果たすこととなるのではないかと問題提起しました。予算面を考えると簡単なことではないかもしれませんが、一石を投じる思いで議論しましたので、今後も継続して研鑽していこうと思います。

同時に、岐阜県や静岡県などの自治体で制定されたスポーツ振興条例で明記されている「競技力の向上」「人材育成」そして「障害者スポーツの振興」の3つの視点を重視するべきと論じ、「スポーツ振興条例」を制定して、文化市民局・保健福祉局・市教委など、局をまたがる施策の実質的な融合を進めるべきと訴えました。

さて、補正予算は、29日の予算委員会で討論結了され、全会一致で可決成立しました。同じ日に教育福祉委員会でも討論結了。食の安全・安心デーを制定する条例改正案や伏見区向島小中一貫校工事契約が可決。保健所移転案には共産党が反対しましたが賛成多数で成立しました。

私は、23日に付託議案が審議された教育福祉委員会で、向島小中一貫校工事契約について質疑。公明党議員団が従来から求めている「学校の直結式水道管」が実現するとの答弁を引き出しました。また、ウォータークーラーを地域行事の会場となり、かつ大規模災害時に避難所ともなる体育館にも導入するべきと論じると共に、他の公共施設工事で問題になっている土壌汚染についても、慎重な体制で進めるべきと述べました。

通学路の安全対策やトイレ洋式化、防災拠点のハード整備など、従来から主張してきた施策も今回の工事で実施されるとのこと。同時に、統合される際に揺れ動く子どもたちの心情に寄り添った環境整備を訴えました。

子ども若者はぐくみ局では、「子どもの居場所づくり支援事業」について報告がありました。本会議代表質問で議論したばかりの重要課題ですので、具体的な声を紹介したうえで、団体への助成制度が実情に合ったものとなるように求めました。府でも本格的な助成制度が始まりましたが、融通の利かないことでは戸惑うばかりです。柔軟な対応が大事ですよね。

一般質問では、他会派が「市営保育所の民間移管は保育の質が落ちる」と主張している実態に対して「市営が上で民営が下と決めつけるのはいかがなものか」と疑問を表明。中京区などで進められている民間移管の取り組みに対して、保護者の不安を取り除く配慮と公平性を重視した施策が実現するよう、一層の尽力を求めました。

いずれも、前向きな答弁がありました。見守っていこうと思います。委員会が終わったのが、なんと夜の9時前。休憩を入れて11時間半も議論していたのですが、夕方5時半から空調が止まるので、3時間半もエアコンなしで議事が進行しました。各委員ともダレることなく、文句1つも言わずに頑張っていました。敬意を表します。

さて、30日の本会議では、人事委員会委員の選任、教育委員の任命そして人権擁護委員の認可の後に、市会運営委員会で断続的に協議され全会派一致で賛同を見た「市会基本条例」の改正が正式に成立。京都市美術館のネーミングライツで問題視された議会の関与が、より大きな責任を伴うこととなりました。

国に送る意見書は3本が提出され、民進党提案の「教員の働き方改革を求める意見書」は全会派の共同提案となり採択。公明党提案の「ギャンブル等依存症対策などの抜本的強化を求める意見書は、共産党から「IR法に反対だから反対」という混同ぶりを示す反対討論がありましたが、他のすべての議員の共同提案となって賛成多数で可決。

共産党提案の「核兵器禁止条約に賛同することを求める意見書」は、北朝鮮が核兵器を所有し挑発的な行為を繰り返している深刻な現状を直視するなか、公明党は賛同せず反対しました。共産党以外の全議員も反対。「政府を糾弾するより北朝鮮に言ってこい」という野次も飛びました。

意見書に続いて調整が進んでいた決議は、「違法民泊」の対策をどうするかによって、会派の意見が分かれました。自民案は「対策の一層の強化」を求め、維新案は「排除」を主張。共産案は「根絶」を求めており、行政の在り方としては最もエキセントリックではない自民案に賛同が集まったのです。「法令違反を繰り返す悪質な事業者」という定義はきわめて穏当で実際的であると考えます。

さあ、GW返上で調査研究と原稿執筆に汗を流した代表質問も終わりました。子ども若者はぐくみ局の施策も大胆にスタートしています。教育福祉委員として、現場第一で研鑽に励み、「鍛えの夏」を真剣に頑張っていこうと思います。!(^^)!